ミジンコはすごい!

花里孝幸 著
岩波ジュニア新書
岩波ジュニア新書ではあるが、内容は子供向けというわけではなく、かなり良くかけていると思う。また、著者が大変科学的な思考能力が高く、読んでいて感心できる。とても良い本。

本書は、淡水域の生態系について、ミジンコを中心として書かれている。ミジンコというと、ちっぽけなプランクトンくらいにしか思われていないが、湖の生態系の中で非常に重要な役割を果たしている。ミジンコは植物性プランクトンの最大の消費者である一方、より大型の甲殻類、虫、魚などの主要な餌となっている。ミジンコのように植物性プランクトンを主な餌にしているプランクトンは他にもいるが、淡水域で最も成功しているのはミジンコのほかに無い。これは、ミジンコに限らず、プランクトンはより大きな動物の餌になる。この捕食圧力は非常に強力であり、如何にして捕食圧力に対抗するかがプランクトンにとっての最大の課題と言える。ミジンコがこれだけ反映していることは、ひとえにミジンコが最もこの捕食圧力に対抗するだけの能力を持っていると言うことに他ならない。そういう意味では、ミジンコは、植物性プランクトンを食べる動物性プランクトンのチャンピオンなのである。