性転換する魚たち サンゴ礁の海から

桑村哲生 著
岩波新書

ファインディング・ニモで一躍有名になったカクレクマノミであるが、この有名なアニメ映画は事実とことなる。まず、夫婦のうち母親が食べられると、お父さんはやがて性転換してメスになってしまう。そして、サンゴで一緒に住むようになった「息子」ニモであるが、これは実は別のところで生まれて流されてきた稚魚と入れ替わっている。そして、稚魚はまだ未成熟なのでオスでもメスでもない。やがてであった暁には、性転換してメスになっている「お父さん」と成熟してメスになった「ニモ」は夫婦になる。血はつながっていないので問題は無い。

一般に、カクレクマノミに限らず、サンゴ礁にすむ魚には性転換するものが多い。そして、どちらの性別になるかは、体の大きさによってきます。カクレクマノミの場合は、大きい方がメスになり、小さいほうがオスになる。メスが欠けると、オスはやがて性転換してメスになる。

ホンソメワケベラという魚の場合はこれとは逆である。ホンソメワケベラはさんご礁にする小魚で、大きな魚の口の中の寄生虫などを掃除する掃除や三である。ホンソメワケベラの場合は、一番大きい個体がオスになり、それ以外はすべてメスとなる。オスが欠けると、メスの中で一番大きい個体が性転換してオスとなる。