われら以外の人類 猿人からネアンデルタール人まで

内村直之  (朝日選書/朝日新聞社

猿人からネアンデルタール人、そして、我々ホモ・サピエンスまでの人類の進化史を最先端の研究を元に分かりやすくまとめた好著である。著者は朝日新聞に勤める科学ジャーナリストである。専門の研究者ではないが、本書の内容は決して浅かったりいい加減なものではなく、著者がこの分野を深く調べていることがうかがわれる。巻末には数多くの参考文献も掲載されている。

地球上にはいつも、2種類以上のヒトが共存していた

これが本書のテーマである。ヒトは決して一本道に進化して言ったのではなくて、様々な種対のヒトが平行して存在し、進化して行った。27000年前には、すでに我々ホモ・サピエンスが存在していたが、このころまで別の種類のヒトであるネアンデルタール人も存在していた。この27000年前という時期をどう考えるかは人それぞれだと思うが、エジプト文明メソポタミア文明が5000年とか6000年のオーダーである。それと比較すれば、そんなに昔の話ではない。つい最近まで自分たちと違う種類の人類が存在していたんだと思うと驚きを覚える。