藤巻健史の実践・金融マーケット集中講義 (下) 現場で使えるデリバティブ、スワップ 編

藤巻健史 著 (光文社)


下巻の内容は主に債券先物金利スワップ、オプション、そしてヘッジファンド。全部、だいたい分かっていたことだけど、スワップのところは面白かった。

金利スワップについてはよく教科書には「固定金利と変動金利の交換」と書いてあるけど、いつもこの説明がいつも飲み込めなかった。固定金利と変動金利を対称に扱っているから本質的なところが分からない。でも、藤巻さんの説明では「金利スワップとは長期金利の商品」と書いてあって納得。

変動金利とは短期金利のこと。要するに、スワップとは、短期金利で資金を調達して、長期金利で運用することと本質的には変わらない。だから、スワップ長期金利の方を視点にして考えられている。スワップのレシーブとは長期金利を『受け取って』、短期金利を払う。スワップのペイとは長期金利を『払って』、短期金利を受け取る。

スワップというのは債券と同じ風に考えればいい。金利が上がると予想するときは債券価格は下がるだろうから、債権は売り、すなわち、ショート・ポジションを取る。このとき、スワップも同じくショート・ポジション、すなわち、ペイすればいい。同様に、金利が下がると予想するときは、債券はロング・ポジションを取るから、スワップはレシーブすればいい。

分かってしまうと簡単。納得。

メモ
それと、この上下巻を通して一番重要だと思ったことは、短期金利長期金利は全く別物だということ。長期金利は株などの近縁の金融商品だけど、短期金利というのは金融商品というよりはむしろ現金に近いものだと思った。短期金利というのは現金のまま持って置いたらもったいないから取りあえず短期金利として運用しているだけ。すぐに現金に変えられるから、現金と大きい違いはない。それに対して長期金利というのは儲けを狙って投資するもの。